2013/9/2

総合 –EUウオッチャー

伊政府が不動産税廃止を決定、連立政権の崩壊回避を優先

この記事の要約

イタリア政府は8月28日、財政緊縮策の一環として昨年に導入された不動産税の廃止を閣議決定した。3党連立のレッタ政権は、ベルルスコーニ元首相率いる自由国民党が要求していた同税制を廃止することで、財政再建より政権崩壊の回避を […]

イタリア政府は8月28日、財政緊縮策の一環として昨年に導入された不動産税の廃止を閣議決定した。3党連立のレッタ政権は、ベルルスコーニ元首相率いる自由国民党が要求していた同税制を廃止することで、財政再建より政権崩壊の回避を優先した格好となる。

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不動産税は初めて住宅を購入した人に課すもので、モンティ政権時代の2012年に復活導入された。同税制をめぐっては、2月の総選挙を経て4月に発足したレッタ首相率いる民主党と自由国民党、モンティ前首相を軸とする中道勢力の連立政権内で、第2勢力の自由国民党が選挙公約に基づいて廃止を要求。これが受け入れらない場合は連立離脱を辞さない構えを示していた。

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民主党は総選挙で第1党となったものの、上院で過半数の議席を確保することができず、レッタ首相は政権維持に自由国民党の協力が不可欠な状態となっている。民主党と中道勢力は財政再建重視派だが、首相は政権崩壊による政治空白を避けるため、不動産税の廃止を受け入れた。

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イタリアはEUに対して、今年の財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に抑えることを約束しているが、不動産税の廃止によって税収が約40億ユーロ減る。政府は歳出削減、ギャンブルへの課税強化によって税収不足を補うほか、2014年に地方税の「サービス税」を導入する計画で、10月に新財源の詳細を固める方針だ。

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