2013/9/2

欧州ビジネスウオッチ

アメリカ・モビル、蘭KPN買収を断念か

この記事の要約

メキシコ通信大手のアメリカ・モビルがオランダ通信最大手KPNを72億ユーロで買収する計画が暗礁に乗り上げている。KPNに関連する財団が買収を阻止するため、同社の議決権株の約50%を取得したためで、アメリカ・モビルが買収を […]

メキシコ通信大手のアメリカ・モビルがオランダ通信最大手KPNを72億ユーロで買収する計画が暗礁に乗り上げている。KPNに関連する財団が買収を阻止するため、同社の議決権株の約50%を取得したためで、アメリカ・モビルが買収を断念する可能性が出てきた。

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メキシコの富豪カルロス・スリム氏が率いるアメリカ・モビルは8月9日、30%を出資するKPNの残り株を株式公開買い付け(TOB)で取得し、買収する計画を発表していた。

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これに対して、KPNが民営化された際に、同社の株主、従業員の利益を守る目的で設立されたKPN財団は29日、アメリカ・モビルが一方的に買収に乗り出したとして、阻止を表明。財団が持つ権利を行使し、KPNの議決権株の49.9%を取得し、買収に待ったをかけた。

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KPNは7月、独携帯電話サービス子会社Eプルスをスペインのテレフォニカに81億ユーロで売却することで合意。アメリカ・モビルのKPNに対するTOBをめぐっては、同売却価格の引き上げを意図したものとの観測が浮上していた。テレフォニカが26日、同価格を85億5,000万ユーロに引き上げたこともあり、アメリカ・モビルがTOBを撤回するとの見方が出ている。

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アメリカ・モビルは30日に発表した声明で、引き続き買収を目指す意向を示しながらも、KPN財団が買収阻止の構えを崩さなければ「提案を撤回する用意がある」としている。

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