2013/9/16

産業・貿易

仏が国内産業振興策を発表、超低燃費車など重点支援

この記事の要約

フランスのオランド大統領は12日、国内産業を活性化させるための行動計画を発表した。成長が見込まれる34のハイテク分野を対象に政府主導で開発プロジェクトを推進し、製造業で過去10年間に失われた75万人の雇用回復を目指す。\ […]

フランスのオランド大統領は12日、国内産業を活性化させるための行動計画を発表した。成長が見込まれる34のハイテク分野を対象に政府主導で開発プロジェクトを推進し、製造業で過去10年間に失われた75万人の雇用回復を目指す。

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フランスでは伝統的に5カ年計画に沿って経済政策が進められ、5カ年計画の策定を廃止した93年以降も歴代政権の産業振興策によって高速鉄道や原子力発電などが同国の基幹産業に成長した。しかし、中・東欧諸国などのEU加盟を機に生産拠点を国外に移転する企業が増え、産業の空洞化が進んだことや、世界的な金融・経済危機の影響などで、長年にわたり国内産業の低迷が続いている。今年に入り、失業率も過去14年で最悪の水準となるなど、オランド政権にとって国内産業の振興を中心とした経済成長が最優先課題となっている。

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オランド大統領はエリゼ宮(大統領府)で開催されたフランスの工業デザインとテクノロジーをテーマとする展示会に合わせて開いた企業経営者らとの会議で、「トップの掛け声で過去に実現された偉大な産業振興策の例について考えている。それは過去への郷愁や60年代に後戻りするという意味ではなく、産業界に寄り添い、刺激を与える国家の姿勢についてだ」と強調。電気航空機、超低燃費自動車、次世代高速鉄道など34の開発プロジェクトを重点的に支援して、10年以内の製品化を目指す構想を打ち出した。大統領はそのうえで、計画を実現するうえでEUの競争政策が障害になる可能性があると指摘し、欧州委員会に対して大型合併を容易にするための規制緩和などを求めていく考えを示した。

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大手コンサルティング会社マッキンゼーの助言を得て策定された行動計画によると、再生可能エネルギー、リサイクル繊維、通信衛星用エンジンなども重点プロジェクトに含まれている。モントブール生産再建相は「ド・ゴール、ポンピドゥー、ミッテランなど歴代政権の伝統を継承し、国が産業政策に深く関与することを決断した」と説明。計画を実現するには研究・開発、生産、資金調達などあらゆる側面で関連する企業同士が密接に連携する必要があると強調し、企業側に協力を求めた。

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