ウクライナ政府は18日の閣議で、EUとの間で貿易、政治、社会、文化、安全保障面の結びつきを強めるための連合協定の草案を承認した。11月に予定されるEUと旧ソ連6カ国の首脳会議での調印を目指す。ただ、ロシアは旧ソ連圏の経済統合に向けてウクライナを自国主導の関税同盟に取り込もうとしており、プーチン大統領は早くも対抗措置をちらつかせてEUへの接近を牽制している。
\ウクライナは欧州との経済統合を最優先課題と位置付けてEUとの連携強化を模索しており、自由貿易協定(FTA)を含む包括的な協定の締結を目指している。アザロフ首相は閣議に先立ち、「EUとの連合協定は大部分のウクライナ国民が望んでいる国の姿を実現するための重要な一歩になる」と述べ、11月にリトアニアの首都ビリニュスで開催される「東方パートナーシップ」首脳会議での調印を目指す方針を示した。
\一方、EU側は2011年にヤヌコビッチ大統領と対立するティモシェンコ前首相が職権乱用罪で禁錮7年の実刑判決を受けた事件を受け、ウクライナとの連合協定を見送った経緯がある。これまではティモシェンコ氏の釈放が協定締結の前提条件になるとみられていたが、ロシアがウクライナに対して政治的圧力を強めていることを背景に、EU側が条件を緩和するとの見方が広がっている。今回の動きを受け、ヤン・トムビンスキー駐ウクライナEU大使は11月の首脳会議で連合協定の締結で正式合意できるとの見方を示した。
\これに対してロシアのプーチン大統領は19日、ロシア問題の専門家やジャーナリストなどの会合で演説し、ウクライナがFTAを締結してEUとの間で関税障壁がなくなった場合、ロシアを含む関税同盟の構成国に競争力の高いEU製品が流入することになると警告。「自国市場を守るため保護主義的な措置を導入せざるを得ない」と述べ、関税引き上げや禁輸などの対抗策を検討する考えを示した。
\ロシア側は7月下旬にプーチン大統領がウクライナを訪問した際、同国に対し低価格での天然ガス供給を条件に、ロシア、カザフスタン、ベラルーシで構成する関税同盟への加盟を強く求めたが、拒否された。このため7月末にウクライナの大手菓子メーカー、ロシェンのチョコレートなどについて、品質上の問題を理由にロシアへの輸入を禁止。その後、幅広いウクライナ製品を対象に関税手続きを厳格化し、8月中旬にはほぼすべての品目について実質的な禁輸に踏み切った。EUがロシア政府の対応を強く非難したことなどで、同措置は1週間で解除されたが、プーチン大統領はウクライナがあくまでもEUとの自由貿易を選ぶのであれば、関税同盟として防御策を講じる必要があると警告していた。
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