欧州委員会は17日、コカインやヘロインなどの違法薬物に代わる新たな精神活性物質(新規薬物)に対する規制強化策を発表した。新規薬物のリスク評価にかかる手続きを簡素化して、より迅速に危険な物質の流通を阻止できる体制を整えることや、薬物の危険度に応じて効率的に取り締まりを行うことなどを盛り込んだ内容。今後、EU加盟国と欧州議会で規制案について検討する。
\麻薬や覚せい剤に似た幻覚症状や興奮作用を引き起こすが、法律で規制されていない新規薬物は「リーガル・ハイ」などと呼ばれ、いわゆる脱法ドラッグとして若年層を中心に乱用が広がっている。欧州委によると、昨年1年間にEU域内で発見された新規薬物は3年前に比べて3倍に拡大し、現在も増え続けている。こうした薬物類は主にインターネットを通じて取引されるため拡散が早く、2カ国以上でほぼ同時に新規薬物が発見されるケースが全体の80%を占めている。EU諸国ではとりわけ若年層で薬物問題が深刻化しており、欧州委が2011年に行った調査によると、域内では若者の5%が脱法ドラッグを使用した経験を持ち、国別ではアイルランドの16%を筆頭に、ポーランド、ラトビア、英国がそれぞれ10%で続いている。
\欧州委はこうした現状に対する欧州薬物・薬物依存監視センター(EMCDDA)や欧州刑事警察機構(ユーロポール)の警告を踏まえ、新規薬物の取り締まりを強化するための具体策を検討していた。
\現在のところEU全域で新規薬物を禁止するには最低2年を要するが、欧州委はこれを10カ月に短縮することを提案している。また、危険性が特に高い物質に関しては、リスク評価を進める間、暫定的に1年間の販売禁止期間を設けることができるようにする。さらに、これまでのような一律の取扱いではなく、個々の薬物の危険度に応じた対応を可能にして、危険性が高い物質については生産や流通段階から規制を行う。このほか人体に極めて有害な影響を及ぼす危険性が高い薬物に関しては、刑事罰の適用対象とすることも規制案に盛り込まれた。
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