2013/12/16

総合 –EUウオッチャー

アイルランドが金融支援脱却、自力で財政再建へ

この記事の要約

国際通貨基金(IMF)は13日、債務危機に陥ったアイルランドに対する最後の金融支援として、8億9,000万米ドルの融資を実施した。これによってEU、IMFによる総額675億ユーロの支援が完了。同国は15日に金融支援から正 […]

国際通貨基金(IMF)は13日、債務危機に陥ったアイルランドに対する最後の金融支援として、8億9,000万米ドルの融資を実施した。これによってEU、IMFによる総額675億ユーロの支援が完了。同国は15日に金融支援から正式に脱却した。

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アイルランドは2010年11月にEUとIMFから金融支援を取り付け、債務危機克服に着手。年金支給額削減、増税など厳しい緊縮策を導入し、財政再建に取り組んだ。再建計画が順調に進み、信用力が回復した結果、今年になって国債の新規発行による資金調達を再開するなど状況が好転し、政府は11月に金融支援脱却を宣言していた。

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アイルランドの10年物国債の利回りは一時、危険水域とされる7%を大きく超える15%以上に達したが、現在は3.5%近辺で推移している。景気回復も進み、今年4-6月期にマイナス成長から脱した。財政赤字も順調にいけば、2015年にEUの財政規律で上限となっているGDP比3%以内に収まる見通し。このため政府は、金融支援終了後に不測の事態が生じて信用不安が再燃し、自力での資金調達が難しくなる場合に備えた非常時の信用枠設定をEUとIMFに求めることなく、自力でのさらなる財政再建を目指す。

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債務危機で国際支援の対象となったギリシャなどユーロ圏5カ国での金融支援脱却はアイルランドが初めて。

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