欧州委員会は12月19日、ブラジルが国産品保護のため、外国製品を税制で不当に差別しているとして、世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表した。自動車、パソコンに高い税率を適用していることを問題視したもの。双方はまず60日間にわたって当事者間協議を行うが、ブラジル政府は正当な措置と主張しており、話し合いでの解決は難しい情勢で、紛争処理小委員会(パネル)での本格的な紛争に発展するのは確実とみられる。
ブラジルは2011年9月、輸入自動車への関税を30%上積みした。当初は12年末までの時限措置だったが、5年間の延長が決まった。これによってEUから同国への自動車輸出は減少している。このほかブラジルは、パソコン、スマートフォン、半導体などにも同様の措置を適用している。
欧州委は声明で、ブラジル政府が輸入品に厳しく課税する一方で、国内業界に税制上の優遇措置を提供しているのは、WTOで禁止されている不当な差別に当たると主張。これまでに数度にわたって協議を行い、是正を求めたが、ブラジル側が応じなかったことから、提訴に踏み切ったとしている。
欧州委によると、EUはブラジルにとって最大の貿易相手で、2012年の貿易額の20.8%を占める。EUの同年のブラジル向け輸出は約390億ユーロ。うち約180億ユーロが自動車など輸送機器や電子製品、部品となっている。
ブラジルの国産品保護政策をめぐっては、日本、米国も反発しており、EUに追随して提訴する可能性がある。