2014/1/13

環境・通信・その他

スペインが中絶規制を強化、政府が法案承認

この記事の要約

スペイン政府は先ごろ、人工妊娠中絶への規制を強化する法案を閣議承認した。欧州では、憲法で妊娠中絶を禁じているアイルランドが今年から初めて中絶を一部合法化するなど、中絶に対する規制を緩和する傾向が見られるが、スペイン政府の […]

スペイン政府は先ごろ、人工妊娠中絶への規制を強化する法案を閣議承認した。欧州では、憲法で妊娠中絶を禁じているアイルランドが今年から初めて中絶を一部合法化するなど、中絶に対する規制を緩和する傾向が見られるが、スペイン政府の決定はこうした流れに逆行した格好だ。

スペインでは1985年に人工妊娠中絶が合法化されたが、中絶が認められるのは強姦被害者と胎児に異常がある場合、母体に身体的・精神的な危険が及ぶ場合のみに厳しく制限されていた。2010年、中道左派のサパテロ前政権が中絶条件の緩和に踏み切り、未成年者(18歳未満)であっても16歳以上であれば親の承諾がなくても妊娠14週以内、母体に危険がある場合もしくは胎児に異常があると診断された場合は22週までの中絶が認められた。しかし、ラホイ首相率いる中道右派政権は今回、カトリック教会の圧力を背景に1985年の法律と同様の厳格な規定を復活。現行法で22週目までは中絶が認められている胎児に異常があるケースについても、中絶条件を厳格化する。さらに、未成年者が中絶する場合には、親の承諾および同伴が必要となる。

ガリャルドン法相は記者会見で、「胎児の生命を母親の意思だけに委ねることはできない」と述べ、法案の意義を強調した。政権与党国民党は議会で絶対多数を握っており、法案の通過は確実視されている。