2014/2/3

競争法

マスターカードの訴え棄却へ、国際決済手数料めぐる訴訟で=欧州裁

この記事の要約

欧州司法裁判所の法務官は1月30日、クレジットカード大手マスターカードが欧州で徴収している国際決済手数料「多国間交換手数料(MIF)」について、EU競争法に違反すると判断した欧州委員会の決定を不服として提訴している問題で […]

欧州司法裁判所の法務官は1月30日、クレジットカード大手マスターカードが欧州で徴収している国際決済手数料「多国間交換手数料(MIF)」について、EU競争法に違反すると判断した欧州委員会の決定を不服として提訴している問題で、同社の訴えを棄却するべきとする見解を示した。法務官見解に法的拘束力はないが、判決で踏襲されるケースが大部分であることから、マスターカードの敗訴が濃厚となってきた。

問題となっているMIFは、越境的なクレジットカードやデビットカードでの買物の処理、決済に関連して銀行間で課される手数料。実際には加盟店が負担している。欧州ではマスターカードの料率が最も高く、欧州委は卸・小売業者の団体からの苦情を受けて調査を進めた結果、同手数料は実際のコストより高く設定されているなどとして、EU競争法に違反すると認定。2007年に引き下げを命じていた。

これに対してマスターカードは、制裁金の支払いを回避するため09年にMIFを引き下げた一方で、MIFは効率的なカード支払ネットワーク維持のため必要不可欠として、欧州裁の一審である一般裁判所に欧州委決定の無効化を求めて提訴。12年に訴えを退けられたことを受けて上訴していた。

欧州裁は最終判決を6カ月以内に下す見通し。欧州委は13年7月、クレジットカードとデビットカードの決済手数料を国内での使用時も含めて、クレジットカードで利用額の最大0.3%、デビットカードで同0.2%を上限とする規制案を発表しており、今回のケースでの勝訴は同ルール実施に向けた追い風となる。