2014/3/3

環境・通信・その他

排出枠の入札延期計画、加盟国が正式承認

この記事の要約

EUが排出量取引制度(EU-ETS)のテコ入れ策として導入を検討していた「バックローディング(排出枠の入札延期措置)」の実施計画が、加盟国が2月24日に開いた閣僚理事会で正式承認され、26日付EU官報に掲載された。これに […]

EUが排出量取引制度(EU-ETS)のテコ入れ策として導入を検討していた「バックローディング(排出枠の入札延期措置)」の実施計画が、加盟国が2月24日に開いた閣僚理事会で正式承認され、26日付EU官報に掲載された。これにより排出権価格を下支えするための同措置が3月中に実施されることが確定し、今年は4億トン分の入札が延期される見通しとなった。

EU-ETSでは第3期間(2013~20年)の初年度から段階的にオークションによる排出枠の有償割当を拡大し、27年までに全面移行することが決まっている。しかし、ユーロ危機に伴う景気低迷で企業の生産活動が停滞した結果、排出枠に膨大な余剰が生じて排出権価格は08年の水準に比べて約80%下落した。欧州委は12年7月、排出枠の需給バランスを改善するため、13-15年に有償配分する排出枠うち9億トン分の入札を16年以降に先送りする構想を提案。加盟国の大部分が同構想を支持する一方、ポーランドなどは排出権価格の上昇が企業に重い負担を強いるとして入札延期に反対しており、意見調整が難航していた。

最終的なバックローディングの実施計画によると、今年は四半期ごとに1億トン分の排出枠の入札が先送りされる。各取引所ではただちに入札日程を組み直し、少なくとも2週間の告知期間を経て取引が行われることになる。バックローディングのスタートが4月にずれ込んだ場合、年内の入札延期は3億トン分にとどまるため、市場では加盟国と欧州議会がどのタイミングで実施計画を正式承認するかに注目が集まっていた。

排出権価格は最安値を記録した昨年4月の1トン当たり2.46ユーロから現在は7.2ユーロ前後まで回復している。市場ではバックローディングの実施により、15年末までに排出権価格は最大15ユーロ程度まで上昇するとの見方が出ている。