2014/3/10

環境・通信・その他

EU内で女性の3割が暴行を経験、性的嫌がらせは半数以上

この記事の要約

EU基本権機関(FRA)は5日、EU域内では女性の3人に1人が身体的または性的暴行を受けた経験を持つとの調査結果を公表した。FRAは女性に対する暴力は個人の問題にとどまらず、社会全体で対処すべき問題だと指摘。各方面に対し […]

EU基本権機関(FRA)は5日、EU域内では女性の3人に1人が身体的または性的暴行を受けた経験を持つとの調査結果を公表した。FRAは女性に対する暴力は個人の問題にとどまらず、社会全体で対処すべき問題だと指摘。各方面に対し早急に有効な対策を検討するよう求めている。

FRAはEU28カ国で18~74歳の女性4万2,000人を対象に調査を実施した。女性に対する暴力の実態調査としては過去最大規模という。これによると、身体的または性的暴行を受けたことがある人は全体の33%に上り、5%は強姦されたことがあると答えた。また、回答者の8%が過去1年以内に身体的または性的暴行を受けたと答えている。配偶者などパートナーから身体的または性的暴行を受けた経験を持つ人は22%で、このうち「最も深刻な被害」について警察に通報した人は14%と少数派だった。

一方、ストーカー被害に遭ったことがある女性は全体の18%で、性的嫌がらせを受けた経験を持つ人は55%に上った。とくに管理職や専門職に就いている女性の間でストーカー被害や性的嫌がらせを経験した人が4分の3を占めている。

身体的または性的暴行を受けたことがあると答えた女性の割合を国別にみると、デンマークが52%で最も高く、フィンランド(47%)、スウェーデン(46%)と北欧諸国が上位に並んでいる。これに対し、最も低かったのはポーランドの19%で、オーストリア(20%)、クロアチア(21%)と続いている。FRAは男女平等の理念が浸透している国では女性に対する暴力行為が明るみに出やすい傾向があると指摘。さらに伝統的な宗教観など文化的背景の違いも考慮すべきで、必ずしも実態を反映した数字ではないと分析している。

FRAのキエルム理事長は「女性に対する暴力、特に性的暴行は重大な人権侵害であり、EUとして決して見過すことはできない」と強調。政治家、EU市民、人権団体など各方面が連携してこの問題に対処するため有効な措置を講じなければならないと警告している。