2014/3/17

産業・貿易

口座情報の自動交換で合意できず、ルクセンブルクの反対で

この記事の要約

EUは11日にブリュッセルで開いた財務相理事会で、加盟国間で銀行の口座情報を自動的に交換する制度の導入について協議したが、ルクセンブルクの反対で合意に至らなかった。今月20~21日の首脳会議で改めて協議し、最終合意を目指 […]

EUは11日にブリュッセルで開いた財務相理事会で、加盟国間で銀行の口座情報を自動的に交換する制度の導入について協議したが、ルクセンブルクの反対で合意に至らなかった。今月20~21日の首脳会議で改めて協議し、最終合意を目指す。

銀行口座の情報交換は、国境を越えた租税回避対策の一環として導入が検討されている。税務当局が国外の銀行口座を利用した課税逃れの実態を把握しやすくし、税収増につなげるのが狙い。債務危機を受けた緊縮財政が続くなか、EU加盟国は脱税や租税回避で年間1兆ユーロ規模の税収を失っているとされる。

ルクセンブルクとオーストリアは一貫して口座情報の自動交換に難色を示していたが、スイスやリヒテンシュタインなどを含めた国際的な枠組みとすることを前提として、同制度の受け入れに基本合意した。しかし、欧州委員会とこれら周辺国との交渉に進展がみられると、ルクセンブルクはEUが税逃れ対策を強化した場合、域内の銀行が域外行との競争で不利に立たされるなどと主張し、再び態度を硬化させた。同制度の導入には加盟国による全会一致の承認が必要なことから、交渉は暗礁に乗り上げている。

ルクセンブルクのグラメーニヤ財務相は11日の会議で、改めて口座情報の自動交換を支持することはできないと表明。首脳会議に結論を持ち越すことを提案した。

協議の行方は不透明だが、ドイツのショイブレ財務相は記者団に対し、「EU加盟国は非常に長い時間をかけて話し合いを続けてきた。合意形成が今日であろうと4週間後であろうと、たいした問題ではない」と発言。最終的に首脳会議でルクセンブルクが反対意見を取り下げるとの楽観的な見方を示した。