2014/3/24

産業・貿易

J&JのC型肝炎治療薬など9品目、EMAが承認勧告

この記事の要約

欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)は21日、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のC型肝炎治療薬や武田薬品工業の潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬など9品目について、EU域内での販売承認を勧告し […]

欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)は21日、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のC型肝炎治療薬や武田薬品工業の潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬など9品目について、EU域内での販売承認を勧告した。欧州委員会はEMAの勧告に従い、3カ月以内に当該医薬品の販売を正式に承認する見通しだ。

J&Jの「オリシオ(一般名:シメプレビル)」は24週間と従来の半分の投与期間で高い治療効果が得られ、頭痛や体のだるさといった副作用も少ないのが特徴。同薬は昨年11月に米食品医薬品局(FDA)の承認を取得している。肝臓がんの原因となるC型肝炎の患者は世界全体でおよそ1億5,000万人に上り、治療薬の市場規模は今後10年間で1,000億ドルを超えるとみられている。ブルームバーグ通信によると、アナリストは2016年にシメプレビルの売上高が年間3億2,600万ドルに達すると予想している。

一方、EMAは武田薬品の「ベドリズマブ(一般名)」について、標準治療で効果が得られない成人の潰瘍性大腸炎・クローン病患者向けの治療者として承認を勧告した。潰瘍性大腸炎とクローン病は炎症性腸疾患の2大疾患で、消化管粘膜に炎症を発生させる。ベドリズマブは消化管に選択的に作用し、炎症の発生に関与するとされる循環白血球に発現する「α4β7インテグリン」(たんぱく質の一種)が腸管粘膜内の細胞接着分子に結合するのを阻害する。炎症性腸疾患患者は世界全体で約400万人に上り、欧州では潰瘍性大腸炎とクローン病の患者数がそれぞれ50万人、23万人となっている。

今回EMAが承認勧告を行った医薬品にはこのほか、米イーライリリーの糖尿病治療薬「エンパグリフロジン(一般名)」、英グラクソ・スミスクラインの気管支喘息治療配合剤「フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロールトリフェニル酢酸塩(一般名)」などが含まれている。