欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2022/7/25

EU情報

ECBが11年ぶり利上げ、政策金利0.5%に

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は21日に開いた定例政策理事会で、政策金利を0.5ポイント引き上げることを決めた。利上げは11年ぶり。ユーロ圏ではロシアのウクライナ侵攻などの影響で景気悪化の懸念が高まっているが、ECBは物価の急上 […]

欧州中央銀行(ECB)は21日に開いた定例政策理事会で、政策金利を0.5ポイント引き上げることを決めた。利上げは11年ぶり。ユーロ圏ではロシアのウクライナ侵攻などの影響で景気悪化の懸念が高まっているが、ECBは物価の急上昇に歯止めがかからないことからインフレ抑制を優先し、大幅な利上げに踏み切った。

主要政策金利をゼロ%から0.5%に引き上げる。2014年からマイナスとなっている中銀預金金利もマイナス0.5%からゼロ%に引き上げる。27日から新金利を適用する。

ECBはコロナ禍で大揺れした経済の回復、物価の上昇を受けて、徐々に金融正常化に舵を切っており、7月までに量的金融緩和を終了した。ただ、利上げに関しては景気への影響を考慮し、主要国の中銀と比べて慎重だった。それでも、ユーロ圏で物価上昇が加速し、6月は過去最高の8.6%に拡大(後続記事参照)。今後も燃料高などで当面はインフレ圧力が一層強まると判断し、利上げを決めた。利上げ幅も当初予想されていた0.25ポイントではなく0.5ポイントとした。2000年6月以来の大幅利上げだ。

ECBは声明で「金利のさらなる正常化が妥当だ」として、追加利上げを示唆した。市場では9月に0.5ポイントの利上げを行うとの見方が浮上している。

一方、ECBは同日、金融引き締めによってイタリア、スペインなど重債務国の国債利回りが上昇し、債務危機に陥るのを防ぐため、「トランスミッション・プロテクション・インスツルメント(TPI)」と呼ばれる新たな債券買い入れプログラムを導入すると発表した。EUの財政規律を順守していることなどを条件に、必要に応じて対象国の公債(償還期間1~10年)を買い支える。買い取り額は無制限。社債の買い入れも検討する。