欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/11/10

EU産業・貿易

スペインの法人税優遇、欧州委の違法判断は無効=欧州裁

この記事の要約

欧州一般裁判所は7日、国外企業の株式を取得した企業に法人税を優遇するスペインの税制がEUの国家補助規定に違反しているとした欧州委員会の決定を無効とする判決を下した。 スペインでは、外国企業の株式の5%以上を一年以上継続し […]

欧州一般裁判所は7日、国外企業の株式を取得した企業に法人税を優遇するスペインの税制がEUの国家補助規定に違反しているとした欧州委員会の決定を無効とする判決を下した。

スペインでは、外国企業の株式の5%以上を一年以上継続して保有する企業に対し、のれん(取得価額と対象企業の時価純資産のうち持分相当の差額)を償却することが認められている。欧州委はこの制度が違法な国家補助に当たるとして、2009年と11年に同国政府に対し補助相当額を企業から回収するよう命令。オートグリル・エスパーニャ、バンコ・サンタンデール、サントゥーサ・ホールディングのスペイン企業3社がこれを不服とし、決定の取り消しを求める訴えを一般裁判所に相次いで起こしていた。

一般裁判所は、欧州委がスペインの税制が特定の企業に恩恵を与える「選択的な性質」を持つということを「立証することができなかった」と指摘。企業側の主張を認め、欧州委の決定を無効とする判断を示した。一般裁判所の判決に不服がある場合は、欧州委は欧州司法裁判所に控訴することができるが、同委は「判決内容を検討する」とのコメントを発表している。

スペインの法人税制をめぐっては、欧州委は先月、親会社の株式取得を通じた外国企業株式の間接的な買収で、のれんを取得後20年にわたり償却することを認める制度が国家補助規定に違反するとして、補助相当分の回収を政府に求める決定を下している。