欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/4/28

西欧

英RBS銀が高額ボーナス支給を断念、筆頭株主の英政府が介入

この記事の要約

英銀大手ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)は25日、上級管理職などに固定給の最大2倍のボーナスを支給する報酬制度の導入を断念する方針を明らかにした。RBSは6月の年次株主総会で承認を求める計画だったが、同行の […]

英銀大手ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)は25日、上級管理職などに固定給の最大2倍のボーナスを支給する報酬制度の導入を断念する方針を明らかにした。RBSは6月の年次株主総会で承認を求める計画だったが、同行の株式81%を保有する英政府が反対の意向を表明したことを受け、報酬案の取り下げを決めた。

EUは昨年、EU域内に本社や現地法人を置くすべての銀行の取締役、上級管理職、トレーダーなどを対象とする賞与規制で合意した。ボーナスの支給額を原則として年間給与と同額に制限するという内容で、株主の承認があれば年間給与の最大2倍が上限となる。ただ、世界有数の金融センターを抱える英国は、人材流出の懸念などを理由に最後まで賞与規制に反対した経緯があり、昨年9月には規制の無効化を求めてEU司法裁判所に提訴している。

ロイター通信によると、政府保有の銀行株を管理するUKフィナンシャル・インベストメンツ(UKFI)は当初、RBSの報酬案を支持していたが、財務省は依然として赤字経営が続くRBSが高額報酬制度を導入することに難色を示しており、UKFIは最終的にRBSの計画を承認しない方針を固めた。財務省の報道官は「RBSは正しい方向に進んでいるが、再建計画は完了しておらず、未だに政府の管理下に置かれている。こうした状況でボーナスの上限引き上げを正当化することはできず、政府として計画を受け入れることはできない」とコメントしている。

一方、英銀大手バークレイズは24日、固定給の最大2倍のボーナスを支給する計画が株主から承認されたことを明らかにした。また、RBSと同様、金融危機後に国有化されたロイズ・バンキング・グループも固定給の最大2倍のボーナスを支給する計画を打ち出している。これについて財務省幹部は、ロイズはすでに黒字転換しており、再民営化の手続きも順調に進んで政府の出資比率は25%まで低下していると指摘。新たな報酬案を支持する方針を示している。