欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/1/5

総合 – 欧州経済ニュース

欧州委の大型投資計画を首脳会議が承認、6月にも実施へ

この記事の要約

EU加盟国は12月18日に開いた首脳会議で、景気浮揚に向けた総額3,150億ユーロの投資計画を承認した。同計画は欧州議会の承認を経て、2015年6月までに実施される見通しだ。 同投資計画は11月に発足した新欧州委員会が看 […]

EU加盟国は12月18日に開いた首脳会議で、景気浮揚に向けた総額3,150億ユーロの投資計画を承認した。同計画は欧州議会の承認を経て、2015年6月までに実施される見通しだ。

同投資計画は11月に発足した新欧州委員会が看板政策に掲げているもの。加盟国が財政緊縮を余儀なくされていることで公共投資が縮小する中、民間資金を活用して投資プロジェクトを推進し、景気を浮揚する狙いがある。

承認された計画案では、EUとEUの政策金融機関である欧州投資銀行(EIB)が計210億ユーロを拠出して「欧州戦略投資基金(EFSI)」を設立。同基金を元手にEIBが市場で資金を集めて630億ユーロまで増強する。これを使って投資リスクの一部を保証し、民間企業が投資を行いやすい環境を整えることで、2015~17年の3年間で総額3,150億ユーロ以上の新規投資を呼び込むことを目指す。

制度設計の詳細は欧州委が1月に提示する予定。首脳会議では加盟国も国庫または政策金融機関を通じてEFSIに拠出できる制度を整えると同時に、同支出に関してはEUの財政規律を定めた安定成長協定を弾力的に運用し、財政赤字を抱える国の拠出も認める方向で調整を進めることで合意した。

投資対象となるのは交通、エネルギー、通信、教育、研究開発などのインフラ整備プロジェクト。EFSIを運営するEIBが経済効果を基準として対象事業を選定する。加盟国が提出した約2,000件、総額1兆3,000ユーロ相当の候補プロジェクトのリストから絞り込むことになる。