欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/1/26

EUその他

ビスフェノールAに健康リスクなし、欧州食品安全機関が見解

この記事の要約

欧州食品安全機関(EFSA)は21日、プラスチックの原料として使用される化学物質「ビスフェノールA(BPA)」の安全性に関する全面的な再評価を実施した結果、現在の曝露レベルではBPAが健康に影響を及ぼすことはないとの見解 […]

欧州食品安全機関(EFSA)は21日、プラスチックの原料として使用される化学物質「ビスフェノールA(BPA)」の安全性に関する全面的な再評価を実施した結果、現在の曝露レベルではBPAが健康に影響を及ぼすことはないとの見解を示した。

BPAは缶詰の内面コーティングや再利用可能なプラスチック製食器類のほか、レジのレシートやATMの明細書の感熱紙などに広く利用されている。これまでの一部の研究では、生殖、免疫系、神経、代謝、心臓血管の各系への影響やがんとの関連性が指摘されており、EU、米国、カナダではほ乳瓶への使用が禁止され、フランスは今年から全ての食品容器への使用を禁じている。

EFSAは今回、新たなデータと評価手法の向上に基づき、食品に含まれるBPAの耐容1日摂取量(生涯にわたり摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量;TDI)を従来の体重1キロ当たり50マイクログラムから4マイクログラムに引き下げることを決定。TDIの数百倍にのぼる高濃度のBPAへの曝露の場合には肝臓と腎臓、乳腺に悪影響を与える可能性があると指摘する一方で、飲食物、ほこり、化粧品、感熱紙などを通じた実際のBPA曝露の最大推定量はTDIの3分の1から5分の1程度にとどまるとして、「現在の暴露レベルでは胎児、幼児、思春期の子どもを含む全年齢層の消費者についてBPAが健康に影響を及ぼすことはない」と結論づけた。