欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/2/16

総合 – 欧州経済ニュース

ギリシャ支援問題めぐる協議が物別れ、16日に再交渉=ユーロ圏財務相会合

この記事の要約

ユーロ圏19カ国は11日に臨時財務相会合を開き、ギリシャが金融支援の枠組み見直しを求めている問題について協議したが、ギリシャと他のユーロ参加国との溝が埋まらず、物別れに終わった。EUのギリシャに対する現行支援の期限が月末 […]

ユーロ圏19カ国は11日に臨時財務相会合を開き、ギリシャが金融支援の枠組み見直しを求めている問題について協議したが、ギリシャと他のユーロ参加国との溝が埋まらず、物別れに終わった。EUのギリシャに対する現行支援の期限が月末に迫る中、ユーロ圏は16日に再協議する。

ギリシャは債務危機に際してEU、国際通貨基金(IMF)から総額2,400億ユーロの緊急金融支援を受けた。その見返りとして厳しい財政緊縮策の実施を約束し、前政権は順守してきたが、国民に大きなしわ寄せが及んでいることから、1月の総選挙で反緊縮を掲げる野党・急進左派連合(SYRIZA)が勝利。チプラス新首相は財政再建計画の見直し、債務削減などをEUに求める方針を打ち出していた。

ギリシャの新政権は金融支援の枠組みを一方的に放棄するという当初の強硬姿勢から転換し、債務削減を要求する代わりに債務の借り換えを求めている。しかし、最大の焦点となっているEUの金融支援延長に関しては、現行の枠組みを維持した形での延長を主張するEU、他のユーロ圏諸国と、緊縮策継続を伴わない新たな枠組みを求めるギリシャの隔たりは大きい。緊縮策についても、新政権は約束した項目の70%を継続するとしているが、最低賃金の引き上げ、国営資産売却の凍結といった選挙公約の実行は譲らない構えだ。

11日の財務相会合では、翌日のEU首脳会議での決着に向けた地ならしとして、支援延長を中心に話し合われた。しかし、双方の主張が平行線をたどり、16日に協議を持ち越すことになった。デイセルブルム議長(オランダ財務相)は記者会見で、今後の交渉をどのように進めるかさえ合意できなかったと述べた。

ギリシャは同問題の早期決着が難しく、新たな枠組みで合意しないままEUの現行支援が終了すると資金難に陥ってデフォルト(債務不履行)の危機に直面する。このため、とりあえずEUから「つなぎ融資」を取り付け、時間をかけて協議を進めたい考えで、これを財務相会合で提案したとみられるが、合意に至らなかった。

ただ、双方に歩み寄りの機運も出ているもようで、バロファキス財務相は「建設的な協議ができた」と語った。消息筋がロイター通信に明らかにしたところによると、同会合では「ギリシャが現行支援の延長と、現行の枠組み(に基づく財政再建)を政府の新たな計画を考慮しながら完了させる可能性を探るための綿密かつ建設的な作業を進めることで合意した」とする共同声明が用意され、バロファキス財務相も一度は同意した。しかし、同財務相が本国政府と電話で協議した結果、「現行支援の延長」という文言が問題となって同意を取り下げ、発表に至らなかったという。