欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/3/2

EUその他

穀物由来バイオ燃料の比率を6%に制限、欧州議会の環境委が採択

この記事の要約

欧州議会の環境委員会は2月24日、EUの輸送部門が利用する再生可能エネルギーに穀物由来のバイオ燃料が占める比率を最大6%に制限する法案を採択した。加盟国の合意では、同比率は7%となっていたが、欧州議会はより厳しい水準に設 […]

欧州議会の環境委員会は2月24日、EUの輸送部門が利用する再生可能エネルギーに穀物由来のバイオ燃料が占める比率を最大6%に制限する法案を採択した。加盟国の合意では、同比率は7%となっていたが、欧州議会はより厳しい水準に設定した。

EUは2009年に制定した「再生可能エネルギー指令」に基づき、2020年までに運輸部門における再生可能エネルギーの利用比率を10%以上とする目標を掲げ、加盟国に目標達成を義務づけている。これに伴いバイオ燃料の利用も促進しているが、菜種や大豆など穀物由来の燃料の利用拡大は食料生産を阻害し、農家が燃料用作物を生産するため元来生産していた食用作物を新たに開墾した農地で作付するようになり、環境破壊が進んで逆に地球温暖化ガスの排出が増えかねないとの懸念が浮上。これを受けて欧州委員会は2012年、輸送部門で使用される再生可能エネルギーのうち、穀物由来のバイオ燃料の比率を最大5%に制限することを提案した。藻類や農産廃棄物などを原料とする「第2世代」バイオ燃料の生産を促す狙いがある。

同比率をめぐっては、欧州議会が6%を求めていたが、加盟国は昨年6月のエネルギー相理事会で7%とすることで合意していた。欧州議会の環境委は同決定に反発し、6%とする修正案を採択した。同委員会は修正案をめぐる欧州議会の本会議での採決を待たず、同案受け入れに向けた協議を加盟国と欧州委に申し入れることも決めた。