欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/5/5

EUその他

独が航空会社に制裁、EU排出規制めぐり

この記事の要約

ドイツ環境省は1日、航空部門に対するEUの温室効果ガス排出規制に基づき、二酸化炭素(CO2)排出量が排出上限枠を超えた航空会社に制裁金を科したことを明らかにした。EU加盟国が排出量取引制度(EU-ETS)に基づいて、航空 […]

ドイツ環境省は1日、航空部門に対するEUの温室効果ガス排出規制に基づき、二酸化炭素(CO2)排出量が排出上限枠を超えた航空会社に制裁金を科したことを明らかにした。EU加盟国が排出量取引制度(EU-ETS)に基づいて、航空機の排出超過分に制裁金を科したのは今回が初めて。対象となった航空会社の具体名や金額は公表されていないが、域外の航空会社が含まれている可能性もあり、ドイツ政府およびEUに対する反発が予想される。

EUは航空機から排出される温室効果ガスを抑制するため、2008年に航空部門をEU-ETSに組み込む方針を決定した。域内の空港を発着するすべての航空各社を対象に、過去の実績に基づいてCO2の排出枠を割り当て、実際の排出量が枠を超えた場合は超過分の排出権を市場で購入するか、制裁金(1トンの超過につき100ユーロ)の支払いを求めるという内容。11年1月からEU域内の路線を結ぶ航空機に規制を適用し、12年1月からは域内の空港を発着して域外と結ぶ国際線の航空機に対象を拡大した。しかし、国際間の合意がないまま域外の航空会社に域内ルールを適用しようとするEUのアプローチに対し、米国、中国、インド、ロシアなどが強く反発。このため欧州委は12年11月、域内と域外を結ぶ国際線の航空機への規制の適用を1年間凍結する方針を打ち出し、先月には欧州議会で同措置を16年まで延長する案が承認された。ただ、域外の航空会社に対する規制が凍結される以前の排出分についてはEUルールが適用されるため、12年の排出超過分については域外の航空会社にも制裁金を科すことができる。

ドイツ排出取引局(DEHSt)の広報担当は「欧州空域内における12年の排出実績に基づき、4月30日までに超過分に対する罰則について該当するすべての航空会社に通知した」とコメントしている。欧州委員会が今年2月に公表したデータによると、ドイツに乗り入れている航空会社のうち、中国国際航空、上海航空、露アエロフロートなどでCO2排出量が排出枠の上限を超えている。一方、ブルームバーグはドイツ当局者の話として、今回の制裁金は総額270万ユーロと報じている。