EU加盟国は10日の財務相理事会で、フランスの財政赤字是正に関する欧州委員会の勧告を承認した。フランスは15年までに赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に削減することを求められていたが、同期限が17年まで2年延長される。
EUの財政規律を定めた安定成長協定では、各国は単年の財政赤字をGDP比3%以内に抑える義務を負う。しかし、フランスは違反が続いており、これまでに是正期限を2度延長された経緯がある。2度目の延長で是正期限が15年に設定されたが、これも順守できない状況だ。
EUは財政規律の違反が続く国にGDPの0.5%に相当する制裁金を科すことになっているが、欧州委は2月、フランスが厳しい経済環境に直面していることなどを考慮し、制裁発動を見送ると同時に、是正期限を17年に延長することを決め、加盟国の承認を求めていた。
財務相理事会では、アイルランドがフランスの特例扱いを問題視し、同国にも財政規律の柔軟運用が認められるべきだと発言するなど、中小国から欧州委の決定に批判的な動きがあった。しかし、財政規律重視派のドイツが同調せず、最終的に欧州委の勧告が承認された。
ただ、フランスは17年に赤字をGDP比3%以下に抑えるため、今年はGDP比0.5%相当の構造赤字の縮小を求められ、その達成に必要な財政改善措置を4月までに提出し、承認を取り付ける必要がある。