欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/3/30

EU産業・貿易

牛乳の生産割り当て制、3月末で廃止

この記事の要約

EUが約30年間にわたって続けてきた牛乳の生産割り当て制度が、3月31日に廃止される。これによって域内の酪農家は需要に応じて自由に生産できるようになる一方で、乳価下落のリスクが高まることになる。 EUは牛乳の生産過剰を抑 […]

EUが約30年間にわたって続けてきた牛乳の生産割り当て制度が、3月31日に廃止される。これによって域内の酪農家は需要に応じて自由に生産できるようになる一方で、乳価下落のリスクが高まることになる。

EUは牛乳の生産過剰を抑えて価格を安定させるため、1984年に共通農業政策(CAP)に基づく牛乳の生産割り当て制を導入し、手厚い補助金とともに酪農家を保護してきた。しかし、過剰な保護との批判を浴び、08年に同制度の廃止で合意。割当枠を年1%ずつ増やし、15年3月末に撤廃することを決めていた。

欧州委員会のホーガン委員(農業・農村開発担当)は、同制度の撤廃で牛乳価格が不安定になる恐れはあるとしながらも、域内の牛乳生産者が卸売業者や小売業者との取引で、生産者団体を通じて契約条件を集団交渉できるようにするシステムを導入していることや、生産コストが高い山間地の酪農家への支援などを行うことを強調し、「軟着陸」できると指摘。逆に生産自由化によって、乳製品の需要が急増しているアジアなどへの輸出を拡大するチャンスになるとの見方を示した。