欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/4/13

西欧

フェデックス、蘭TNTを44億ユーロで買収

この記事の要約

物流大手の米フェデックスは7日、オランダ同業のTNTエクスプレスを44億ユーロで買収することで合意したと発表した。フェデックスは欧州の小口輸送市場で大きなシェアを持つTNT買収によって先行するドイツポスト傘下のDHL、米 […]

物流大手の米フェデックスは7日、オランダ同業のTNTエクスプレスを44億ユーロで買収することで合意したと発表した。フェデックスは欧州の小口輸送市場で大きなシェアを持つTNT買収によって先行するドイツポスト傘下のDHL、米UPSの追い上げを図る。

フェデックスはTNTの株式を1株当たり8ユーロで取得する。同価格は前営業日の終値に33%を上乗せした水準。TNTの取締役会は全会一致で買収提案の受け入れを決めた。2016年上期の買収手続き完了を見込んでいる。

TNTは欧州の小口陸運、フェデックスは国際航空貨物で強みを持つ。フェデックスは電子商取引の拡大による小口輸送の需要が世界的に高まる中、TNT買収によって手薄となっている欧州の輸送網を強化する。

TNTをめぐっては、UPSが12年に51億6,000万ユーロでの買収で合意したが、EUの欧州委員会が域内小口宅配便市場の寡占が進み、健全な競争が阻害されるとして承認せず、実現に至らなかった経緯がある。今回の買収も欧州委の承認が必要で、フェデックスとTNTは買収に伴いTNTの航空貨物部門を他社に売却することで合意した。TNTはフェデックスの欧州市場でのシェアが小さく、両社の事業が補完的で、UPSとの統合のような競争上の問題はないとして、承認を取り付けることができるとしている。