欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/5/26

EU産業・貿易

欧州議会、資金洗浄対策の新ルールを承認

この記事の要約

欧州議会は20日、マネーロンダリング(資金洗浄)とテロ資金供与の防止対策を強化する新たなルールを承認した。パリやコペンハーゲンで連続テロが発生するなど欧州でテロの脅威が高まる中、加盟国の資金情報機関(FIU)による疑わし […]

欧州議会は20日、マネーロンダリング(資金洗浄)とテロ資金供与の防止対策を強化する新たなルールを承認した。パリやコペンハーゲンで連続テロが発生するなど欧州でテロの脅威が高まる中、加盟国の資金情報機関(FIU)による疑わしい資金移転の追跡や情報交換を促進し、マネーロンダリングやテロ組織への資金流入を阻止するのが狙い。

新ルールは、「マネーロンダリングとテロ資金供与の目的での金融システムの利用の防止に関する指令(第4次反マネーロンダリング指令)」および資金移転の透明性を確保するための「資金移転に随伴する情報のトレーサビリティの改善に関する規則」で構成される。第4次反マネーロンダリング指令は、企業等の背後に存在する実質的所有者である「真の受益者」に係る情報を各加盟国で一元的な登録簿に蓄積することを初めて義務付けている。この登録簿には、権限のある関係官庁や資金情報機関(FIU)、銀行等の届出義務を負う主体、「正当な利害関係」を実証できる個人及び組織がアクセスすることができる。同指令にはこのほか、◇銀行、監査会社、弁護士、不動産仲介会社、賭博場などに対して顧客による不審な資金移転に関する情報の提供を義務付ける◇国家元首、政府高官、最高裁判事、国会議員など「重要な公的地位を有する者(PEPs)」およびその親族など、一般人と比べてマネーロンダリングに係るリスクが高い人物については、金融機関等により厳格な顧客管理を求める――ことなどが盛り込まれている。

加盟国は第4次反マネーロンダリング指令を2年以内に国内法化することが求められる。