欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/6/1

EU情報

EPAの「年内合意」に向け交渉加速、日・EU首脳会議で方針確認

この記事の要約

安倍晋三首相とEUのトゥスク大統領、ユンケル欧州委員長による首脳会議が5月29日、首相官邸で開かれ、交渉中の経済連携協定(EPA)について、年内の大筋合意を目指す方針を確認した。実現に向け、難航している非関税障壁や政府調 […]

安倍晋三首相とEUのトゥスク大統領、ユンケル欧州委員長による首脳会議が5月29日、首相官邸で開かれ、交渉中の経済連携協定(EPA)について、年内の大筋合意を目指す方針を確認した。実現に向け、難航している非関税障壁や政府調達などの分野で交渉を加速させる。

日本とEUは2013年4月にEPA交渉を開始した。双方は2015年末の妥結を目標に掲げて交渉を重ねているが、EU内には障壁となっている国内の規制や製品規格などの見直しに向けた日本の取り組みが不十分との見方がある。また、日本が自動車関連の関税引き下げを求めているのに対し、EU側は自動車分野における規制など非関税障壁の撤廃を主張するなど、交渉は難航している。

共同宣言は「できれば15年末までにすべての主要課題を含めた合意を目指す」とし、「隔たりが大きい分野を中心に交渉を加速するよう交渉担当官に指示した」と説明。安倍首相は「スピードと質の両方を重視しながら交渉を加速させることで一致した」と述べた。

一方、安全保障分野では海洋進出を活発化させている中国を念頭に、「東シナ海および南シナ海の状況を引き続き注視し、現状変更をもたらし、緊張を高めるあらゆる一方的な行動を懸念している」と表明。共同声明に「力による威嚇を含む一方的行動を控えるよう強く求める」との文言を盛り込んだ。

また、ウクライナ情勢をめぐり、ロシアによるクリミア併合を「決して容認しない」と強く非難。紛争解決に向けて日本とEUが連携を強化する方針を確認し、すべての当事者に対して停戦合意の完全履行を求めた。