欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/6/8

EU情報

欧州中銀が金利据え置き、総裁は量的緩和継続を言明

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は3日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏に適用される最重要政策金利を史上最低となる現行の0.05%に据え置くことを決めた。一方、ドラギ総裁は記者会見で、デフレ懸念は後退しているものの、ユーロ圏の国債 […]

欧州中央銀行(ECB)は3日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏に適用される最重要政策金利を史上最低となる現行の0.05%に据え置くことを決めた。一方、ドラギ総裁は記者会見で、デフレ懸念は後退しているものの、ユーロ圏の国債などを買い取る量的金融緩和を予定通り続ける方針を確認した。

ECBはデフレ、景気対策として超低金利政策を続けているほか、3月に量的緩和を開始した。量的緩和はユーロ圏のインフレ率を2%前後まで引き上げるのが目的で、16年9月まで実施することになっている。

ユーロ圏では停滞していた景気回復が進み、1~3月期の域内総生産(GDP)は前期比0.4%増となった。また、インフレ率は5月にプラスに転じた(前掲記事参照)。ECBは同日発表した最新の内部経済予測で、2015年のGDP予想伸び率を前回と同じ1.5%とした一方で、インフレ率はゼロ%から0.3%に上方修正した。

こうした状況を受けて、ECBが量的緩和の「出口戦略」を模索し、前倒しで終了させるとの観測が浮上している。しかし、ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、物価は「今年初めに底を打った」としながらも、ユーロ圏では景気回復が鈍化する兆しがあると指摘。出口戦略を検討しているかという質問に「答えはノーだ。出口は遠い」と述べ、量的緩和の早期終了を否定した。