欧州委員会は5日、2016年1月に施行される保険分野の新たな規制「ソルベンシーⅡ」と第3国の保険監督制度の同等性評価について、スイス、オーストラリア、バミューダ諸島、ブラジル、カナダ、メキシコ、米国における規制の枠組みをEUと同等と認定したと発表した。欧州議会と閣僚理事会の承認を経て、当該国・地域の管轄下にある保険会社は自国の規制に基づき、EU域内で活動することが可能になる。一方、EU加盟国に本社を置く保険会社もEU規制に基づいて、これら7カ国・地域でサービスを提供できるようになる。
ソルベンシーⅡは銀行に対する自己資本比率の最低基準を定めた新BIS規制に相当する保険分野の新ルールで、国際的に事業展開する保険会社に対して関係国の監督機関が連携して監視体制を強化し、グループ全体のリスクを正確に把握して金融市場の混乱を防止することを最大の目的としている。具体的には保険会社に一定以上のソルベンシーマージン(不測の事態が発生した場合でも契約通りに保険金を支払うための「余裕資金」のことで、広義の自己資本)の保有を義務付けることを柱とする内容で、リスク資産の評価技法やガバナンスに関する共通ルールなども盛り込んでいる。
ソルベンシーⅡと第3国の保険監督制度の同等性評価は、グループが域外の第3国で1社以上に資本参加している場合のグループソルベンシーの算定(第227条)、第3国のグループ監督体制(第260条)、再保険業務に関する規制(第172条)の3分野で行われる。欧州委によると、スイスはこれら3項目すべてで規制レベルがEUと同等と認定された。一方、米国など6カ国・地域はグループソルベンシーの算定について同等性が認められた。同等性評価の有効期限はスイスが無期限、それ以外は10年間となっている。