欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/6/15

EU情報

Eプラス買収認可は不当、独通信会社が欧州裁に提訴

この記事の要約

ドイツの通信会社エアデータはこのほど、欧州委員会がスペイン通信最大手テレフォニカによる独携帯電話サービス大手Eプラスの買収を認可したのは不当として、欧州司法裁判所の一般裁判所に提訴した。買収実現の条件として実施される競争 […]

ドイツの通信会社エアデータはこのほど、欧州委員会がスペイン通信最大手テレフォニカによる独携帯電話サービス大手Eプラスの買収を認可したのは不当として、欧州司法裁判所の一般裁判所に提訴した。買収実現の条件として実施される競争上の是正策が不十分と主張している。

テレフォニカは2013年、オランダ通信最大手KPN傘下のEプラスを総額85億5,000万ユーロで買収することで合意した。Eプラスは加入者数で独3位の携帯電話サービス会社。テレフォニカが傘下の同4位テレフォニカ・ドイチェランドとEプラスを統合して誕生する新会社は、ドイツテレコム傘下のTモバイル、英ボーダフォンを抜いて独最大の携帯電話サービス会社となる。

欧州委は同買収について、ドイツで独自の通信ネットワークを保有する大手携帯電話サービス会社が4社から3社に減り、大手による寡占化が進んで健全な競争が阻害される恐れがあるとして難色を示していた。しかし、テレフォニカが◇新会社が保有するネットワーク容量(帯域幅ベース)の最大30%を自前の回線を持たない仮想移動体通信事業者(MVNO)に固定料金で譲渡する◇保有する無線周波数幅などを新規参入事業者に提供する◇Eプラスまたはテレフォニカ・ドイチェランドが独国内の既存のMVNOに対するホールセール(通信網の有償リース)を拡大する――といった是正策を提示したことから、昨年7月に承認していた。

ドイツの一部地域で携帯電話サービスを展開するエアデータは、これらの措置は不十分で健全な競争が維持されないと不満を表明し、欧州委の決定を不服として欧州裁に提訴した。