欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/6/22

EU情報

EU3機関が証券金融取引の透明性ルールで合意、シャドーバンキング対策で

この記事の要約

欧州議会、閣僚理事会と欧州委員会は17日、証券金融取引(Securities Financing Transaction)の報告と透明性に関する規則案の内容で合意した。「シャドーバンキング(影の銀行)」と呼ばれる通常の銀 […]

欧州議会、閣僚理事会と欧州委員会は17日、証券金融取引(Securities Financing Transaction)の報告と透明性に関する規則案の内容で合意した。「シャドーバンキング(影の銀行)」と呼ばれる通常の銀行を介さない金融取引に対する規制の一環として、レポ(現金担保付債券貸借取引)や証券貸借取引などの市場参加者に取引情報の報告を義務付け、監督当局が正確に実態を把握して早い段階でリスクを察知できる体制を整える。欧州議会と閣僚理事会の正式な承認を経て規制が導入される。

世界的に銀行部門への規制が強化されるなか、シャドーバンキングを利用して規制を回避しようとする動きが広がっており、各国当局は金融システムの安定を脅かす新たな懸念材料として警戒を強めている。欧州委は昨年1月、金融危機の再発防止を目的に導入された一連の規制を補完するものとして、銀行セクターの構造改革案と並んで証券金融取引の透明性を高めるための規則案を打ち出した。

証券金融取引にはレポ取引、リバース・レポ取引、証券貸借取引、マージン・レンディング取引などがあり、取引に際し、エクスポージャーの額が指定された額を超えた場合に担保の提供を求めることができる旨の契約(マージン・アグリーメント)が必要なケースも多い。

規則案によると、すべての証券金融取引は取引情報蓄積機関(TR=trade repository)への報告が義務付けられる。また、投資ファンドによる証券金融取引に関しては、定期レポートなどを通じて投資家に情報を開示することが義務付けられる。さらに、ブローカーは顧客から預かった担保を自己取引の担保として再利用する「再担保」に際し、リスクやその他の情報を十分に説明したうえで事前に顧客の同意を得ることが義務付けられる。