欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/6/22

西欧

デンマークで4年ぶり政権交代へ、総選挙で極右政党が躍進

この記事の要約

デンマークで18日、議会(1院制、定数179)総選挙が行われ、ラスムセン前首相率いる自由党などによる中道右派の野党陣営が過半数を獲得して4年ぶりの政権交代を確実にした。与党・社会民主党は景気回復の実績を強調し、選挙戦は接 […]

デンマークで18日、議会(1院制、定数179)総選挙が行われ、ラスムセン前首相率いる自由党などによる中道右派の野党陣営が過半数を獲得して4年ぶりの政権交代を確実にした。与党・社会民主党は景気回復の実績を強調し、選挙戦は接戦となったが、移民排斥を唱える極右のデンマーク国民党(DPP)が社民党に次ぐ第2党に躍進し、野党側が僅差で勝利した。

獲得議席数は野党側の90議席に対し、与党の中道左派陣営は85議席となった。自由党は前回選挙を13議席下回る34議席と落ち込んだものの、DPPが15議席増やして37議席を獲得し、陣営全体として議席を増やした。社民党は前回より3議席多い47議席を獲得し、第1党の座を守ったが、前回選挙でデンマーク初の女性首相に就任したトーニングシュミット氏は敗北を認め、党首を辞任する意向を表明した。

デンマークでは今年2月、首都コペンハーゲンで移民の家庭に生まれた若者による連続テロ事件が発生。さらに、シリアからの難民や、主にアフリカから地中海を渡って欧州に入る不法移民が急増していることを受け、今回の選挙では移民政策が争点の1つとなっていた。

政権交代に伴いラスムセン氏が首相に返り咲く見通しで、今後はDPPが自由党と連立政権を組むか、政権参加はせず閣外協力するかに焦点が移る。DPPのダール党首は「政治的影響力を最大限発揮できる場所にいるという党の方針は今後も変わらない」と述べるにとどめ、態度を明らかにしていない。移民政策については両党の方向性が一致しているものの、自由党が福祉関連の支出抑制を掲げる一方、DPPは低所得層への福祉充実を訴えている。また、DPPはEU残留の是非を問う国民投票の実施を要求しており、同党の主張が新政権の対EU政策にどの程度反映されるかにも注目が集まる。