欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/7/20

EU情報

米クアルコムに競争法違反の疑い、欧州委が本格調査を開始

この記事の要約

欧州委員会は16日、米移動体通信向け半導体大手クアルコムが携帯端末に使用されるベースバンドチップの販売でEU競争法に違反した疑いがあるとして、同社に対する本格調査を開始したと発表した。最終的に競争法違反と認定された場合、 […]

欧州委員会は16日、米移動体通信向け半導体大手クアルコムが携帯端末に使用されるベースバンドチップの販売でEU競争法に違反した疑いがあるとして、同社に対する本格調査を開始したと発表した。最終的に競争法違反と認定された場合、クアルコムは年間売上高の最大10%に相当する制裁金を科される可能性があるほか、EU市場における商慣行の変更を迫られることになる。

ベースバンドチップはスマートフォンやタブレット端末などの無線通信や信号を制御する半導体で、クアルコムは世界1位のシェアを誇る。欧州委によると、クアルコムは市場支配的地位を乱用し、顧客がチップセットのすべてあるいは大部分を同社から購入することを条件に、値引きや払い戻しなどのインセンティブを与えた疑いがある。また、同社は一部の第3世代(3G)用チップセットで競合他社を市場から排除するため、コストを下回る価格で提供する「略奪的価格設定」を行った疑いがもたれている。

欧州委のヴェスタエアー委員(競争政策担当)は「ハイテク機器のサプライヤーが製品の優劣に基づいて競争できる状態かどうか確かめるために調査を開始する。健全な競争が技術革新を促す最も効果的な方法だ」とコメントした。

クアルコムは携帯電話の通信技術に関連したライセンス料をめぐり、米国や中国などの競争当局から調査を受けている。中国国家発展改革委員会は今年2月、1年以上にわたる調査の末、同社に60億8800万人民元(約9億7500万ドル)の制裁金を科している。