英国のEU離脱に批判的なスコットランド自治政府のスタージョン首相は13日、英国からの独立の是非を問う住民投票の再実施に向けた準備を開始すると発表した。議会の承認を得た上で、英政府との交渉に臨む方針だ。
英国で6月に実施されたEU離脱の是非を問う国民投票では55%が離脱に賛成したが、スコットランドでは残留派が62%と多数を占めた。残留派だったスタージョン首相は、スコットランドが英国の道連れにされ、EU単一市場から締め出されるのは受け入れがたいとして、独立を問う住民投票の再実施に前向きの姿勢を示していた。
スタージョン首相は今回、英政府による離脱通告が決まったことを受けて、2度目の住民投票実施への強い決意を表明。英国とEUの離脱交渉が終盤に入り、どのような形で離脱するかが固まる18年秋から19年春にかけて実施する方針を打ち出した。
14年に実施された住民投票では、僅差で英からの独立が否決された。しかし、スタージョン首相は、英国がスコットランドの意に反してEU離脱を決め、しかも強行離脱の可能性が強まっていることで状況が変わったとして、住民投票再実施の正当性を強調している。
ただ、独立に関する住民投票の実施には、英政府の承認が必要となる。スタージョン首相は近日中に、スコットランド議会に投票実施に向けた英政府との交渉開始を承認するよう求めることを明らかにしたが、英政府が2度目の住民投票実施を受け入れる可能性は極めて低い。メイ首相は16日、「今はその時ではない」と述べ、認めない意向を表明した。