欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2017/5/8

EU情報

ギリシャへの金融支援再開、月内に決定へ

この記事の要約

欧州委員会は2日、ギリシャが金融支援再開の条件として実施する改革の詳細について、同国と債権団が合意したと発表した。ユーロ圏19カ国は5月下旬に開く財務相会合で同合意を正式承認し、ギリシャへの追加融資を決める見込みだ。EU […]

欧州委員会は2日、ギリシャが金融支援再開の条件として実施する改革の詳細について、同国と債権団が合意したと発表した。ユーロ圏19カ国は5月下旬に開く財務相会合で同合意を正式承認し、ギリシャへの追加融資を決める見込みだ。

EUは2015年、債務危機が続くギリシャに対する総額860億ユーロの第3次金融支援を決定。同国が約束した財政再建策の進展状況を検証しながら、段階的に融資を実施することになっている。問題となっているのは、追加融資実行に向けた第2次審査。ギリシャは7月に約70億ユーロの債務返済期限を迎えるため、同融資が不可欠だが、条件となる財政、構造改革をめぐる協議が難航し、実施が遅れており、ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥りかねない状況となっている。

EUは4月に開いたユーロ圏財務相会合で、ギリシャが基礎的財政収支(プライマリーバランス)を18年までに国内総生産(GDP)比3.5%の黒字にするという目標を達成するために必要な追加の改革で大筋合意した。ギリシャが2019、20年にそれぞれGDP比1%に相当する財政改善策を実施するという内容で、年金削減、増税などによって実施する。

2日に合意したのは、これらの改革の詳細。年金削減、増税のほかエネルギー市場の開放といった構造改革、国営の石炭火力発電所、炭鉱の売却を進めることなどが盛り込まれた。ギリシャが財政改善の目標を達成すれば、減税などの実施が認められる。ギリシャ国営通信社は、年金削減は平均9%程度と報じている。

ギリシャは一連の措置について、今月中旬に議会の承認を得る見込み。これを受けてユーロ圏は22日に開く財務相会合で、追加融資を承認することになる。一方、ギリシャ側は同会合で債務の軽減、欧州中央銀行(ECB)が量的金融緩和として実施しているユーロ圏の国債買い取りの対象にギリシャ国債も含めることを要請し、承認を取り付けたい考えだ。

債務の軽減は、第1、2次の金融支援に加わったものの、3次支援参加を見送っている国際通貨基金(IMF)も、同支援に加わるための条件として求めているもの。債務問題の抜本的な解決には債務の大幅な減免が必要との判断していることが背景にある。ただ、ドイツが難色を示しており、早期の合意は難しいとの見方も浮上している。