欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/28

EUその他

ライアンエアーに960万ユーロの補助金返還命令、仏3空港による不当支援で

この記事の要約

欧州委員会は23日、フランスの複数の地方空港がアイルランドの格安航空会社ライアンエアーに適用していた優遇措置が違法な補助金に当たるとして、ライアンエアーに対して約960万ユーロの返還を命じた。ライアンエアーは決定を不服と […]

欧州委員会は23日、フランスの複数の地方空港がアイルランドの格安航空会社ライアンエアーに適用していた優遇措置が違法な補助金に当たるとして、ライアンエアーに対して約960万ユーロの返還を命じた。ライアンエアーは決定を不服として欧州司法裁判所に提訴する構えをみせている。

地方空港の運営をめぐっては、地域活性などの名目で地元自治体などがさまざまな優遇措置を適用し、航空会社を支援するケースがしばしばみられる。しかし、航空自由化が進展して航空部門のビジネス環境が大きく変化するなか、特定の航空会社を対象とする助成は公正な競争を歪める可能性がある。欧州委はライアンエアーが複数の空港から不当な補助金を受けているとの苦情を受け、フランス、ドイツ、オーストリアの計7空港の優遇措置について調査を進めていた。

欧州委が違法な補助金に当たると判断したのは、フランス南部のニーム空港、ポー・ピレネー空港、中部のアングレーム空港とライアンエアーが結んだ取決め。欧州委はこれら3空港がライアンエアーを誘致する見返りに、施設使用料の減免やマーケティング面の支援といった優遇措置を適用した結果、同社に対する「過剰な便宜」によって市場競争が著しく阻害されたと指摘。ライアンエアーに対し、それぞれ640万ユーロ、240万ユーロ、86万8,000ユーロの返還を命じた。

一方、ライアンエアーはオーストリアのクラーゲンフルト空港からも地上サービスやマーケティング面で優遇措置を受けていた。欧州委は一連の措置が競争阻害につながる過剰な優遇策に当たる可能性があるとして、引き続き調査を進める方針を示している。