欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/28

西欧

伊送電網運営会社、中国企業が35%出資へ

この記事の要約

イタリアのパドアン経済・財務相は24日、国内の送電・送ガス網を運営する国営企業CDPレティの株式35%を中国送電最大手の国家電網に売却する交渉を進めていることを明らかにした。協議は最終段階にあり、月内の合意を見込んでいる […]

イタリアのパドアン経済・財務相は24日、国内の送電・送ガス網を運営する国営企業CDPレティの株式35%を中国送電最大手の国家電網に売却する交渉を進めていることを明らかにした。協議は最終段階にあり、月内の合意を見込んでいる。売却額は20億ユーロに上る見通しだ。

イタリア政府は巨額の公的債務を圧縮するため、国営企業を民営化し、株式売却益を債務返済に充てる計画を進めている。レッタ首相は昨年12月、政府が財政再建の一環として、保有する国営企業8社の株式を2014年末までに売却し、最大120億ユーロを調達する方針を打ち出していた。CDPレティの民営化もこうした流れに沿ったものだ。

CDPレティは財務省傘下のイタリア預託貸付公庫(CDP)の100%子会社で、送電大手テルナ、送ガス網を運営するスナムの親会社。CDPによると、政府は昨年12月から国家電網と出資交渉を行ってきたという。同社の資本参加が実現すれば、中国企業によるイタリアでの投資では過去最大規模となる。

欧州ではギリシャを震源地とするユーロ危機が発生してから、財政が悪化している国がエネルギー、インフラなどの公営企業を民営化し、民間資金でインフラ整備を推進しようとする動きが活発化している。その大きな受け皿が中国企業で、イタリアでは中国人民銀行が3月、国営石油会社エニとエネルギー大手エネルにそれぞれ15億ユーロ、8億2,700万ユーロを出資し、株式の約2%を取得。5月には電気機器メーカーの上海電気集団が、伊政府系ファンドの傘下にあった同業アンサルド・エネルジアの株式40%を4億ユーロで取得することで合意した。

このほか、ギリシャのピレウス港の運営権を中国遠洋運輸集団が取得。ポルトガルの電力網運営会社、英水道子会社テムズ・ウォーターなどに中国の国営企業が出資している。