欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2019/3/25

EU情報

英のEU離脱を来月以降に延期、EU首脳会議で合意

この記事の要約

EUは21日に開いた首脳会議で、29日に迫った英国のEU離脱を延期することで合意した。英国議会が離脱協定案を次週に可決すれば、5月22日まで延期する。否決された場合も4月12日まで延期されることになり、29日に「合意なき […]

EUは21日に開いた首脳会議で、29日に迫った英国のEU離脱を延期することで合意した。英国議会が離脱協定案を次週に可決すれば、5月22日まで延期する。否決された場合も4月12日まで延期されることになり、29日に「合意なき離脱」に至る事態はひとまず回避される。

英政府とEUは昨年11月に離脱協定案で合意したが、英議会が2度にわたって否決したため、合意がないまま29日に離脱する危機に直面。英国のメイ首相は20日までに3回目の採決を下院で実施し、可決した場合はEUに6月30日までの離脱延期を要請することを決めた。

しかし、英下院のバーカウ議長が18日、離脱案は2度否決されたことから、内容に変更がない限り新たな採決は認めないと宣言したため、20日に採決を断念。下院が今後に離脱案を承認することを前提に、関連する法的整備の時間が必要として、EUに離脱を6月末に延期するよう要請していた。

英国を除くEU27カ国が首脳会議で、6月末までの延長を認めず、期限を5月22日としたのは、5月23~26日に欧州議会選挙が行われるため。英国が求める延長には、同国が選挙時に加盟国となっており、選挙に参加する必要があるという主張だ。

英議会が3度目の採決でも離脱協定案を否決した場合の離脱延期を4月12日までとしたのも、同日は英国が欧州議会選に参加するかどうかを決める期限となっていることが背景にある。

英議会では離脱強硬派、親EU派の双方が離脱協定案に反発している。離脱強硬派はEUとの関係が近すぎると批判。一方の親EU派はもっと緊密な関係を築くべきとしているためだ。このため、次週に行われる3度目の採決でも否決される可能性が高い。その場合、英政府は4月12日までに新たな方針を決めなければならない。

英国のメイ首相は首脳会合後の記者会見で、否決された場合の方針について「合意がないまま離脱するか、新たな選択を提案するかのどちらかだ」と発言。新たな選択として、欧州議会選への参加を候補に挙げた。

一方、EUのトゥスク大統領(欧州理事会常任議長)は、英国には4月12日まで「合意しての離脱、合意なき離脱、離脱の更なる延期、離脱の撤回というすべての選択肢がまだ残されている」と述べた。