欧州委員会が7月31日公表したEU加盟国の税関による知的財産権侵害疑義物品の取り締まりに関する報告書によると、2013年に域内で押収された偽造品は約3,600万点に上った。前年に比べて押収件数は減ったものの、金額にして7億6,000万ユーロ超の知的財産権が侵害されたことになる。
押収品の内訳は衣料品が12%と最も多く、医薬品(10%)、たばこ(9%)、玩具(8%)などが上位を占めている。流入経路は中国からの輸入品が全体の66%を占め、香港が13%でこれに次ぐ。ただ、偽造品の供給元が1カ国に集中している製品カテゴリーもあり、たとえば香水はトルコ、食料品はエジプトが大多数を占めている。
一方、偽造品の流入形態は郵便物と宅配小包が全体の約70%を占めており、押収された郵便物の19%は医薬品だった。押収品のうち70%以上は廃棄処分となり、15%は訴訟のための証拠品として取り扱われた。
EUでは知的財産権侵害の疑いのある物品の域内市場への流入を阻止するため、加盟国の税関が水際での取り締まりを行っており、欧州委は2000年から税関による取り締まりの現状について年次報告書をまとめている。昨年6月には03年に制定された税関の知的財産権侵害疑義物品の水際取締りに関するEU規則が改正され、今年1月から税関の権限が大幅に強化されている。