英国の上院は22日、EU離脱に必要な関連法案を承認した。同法案は下院を通過済みで、24日にもエリザベス女王の裁可を得て成立した。EU側も欧州議会が29日に離脱協定を批准する見通しで、英国のEU離脱がようやく1月31日に実現する。
離脱関連法案は9日に下院で可決されていた。上院は20日から21日にかけて、英在住のEU出身者が離脱後も自動的に在留資格を得ることができることや、難民の子供に英国の親戚と暮らす権利を与えることなどを盛り込んだ修正案を可決。法案は下院に戻された。
しかし、修正案は与党・保守党が単独で過半数を握る下院で否決され、これを上院が尊重して受け入れたことから、関連法案が上下両院を通過した。
英政府がEUと合意した離脱協定案をめぐっては、これまで何度も議会で否決され、離脱が迷走。国民投票で離脱が決まった直後に就任したメイ首相が退陣に追い込まれ、19年7月にジョンソン首相に舵とりが委ねられた。
ジョンソン首相はEUと新たな協定案で合意し、先の総選挙で保守党が大勝し、下院で過半数を奪還したことから強引に関連法案の成立を進めた。首相は声明で、「EU離脱のゴールを切れないと思った時期もあったが、やり遂げた」と成果を強調した。
英国とEUは離脱後も20年12月末まで移行期間が設けられるため、1月末に離脱しても当面は現状の関係が続く。移行期間中に自由貿易協定(FTA)などの交渉を進めることになるが、11カ月間という短い期間で妥結にこぎ着けるのは難しく、なお曲折が予想される。