欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2020/6/29

EU情報

米がエアバス補助金めぐる追加関税の拡大検討、ビールなど31億ドル相当

この記事の要約

米通商代表部(USTR)は23日、欧州航空機大手エアバスへの補助金に対する報復措置としてEUからの輸入品に課している追加関税について、対象品目の拡大や税率の引き上げを検討すると発表した。EUへの圧力を強めて補助金の撤廃を […]

米通商代表部(USTR)は23日、欧州航空機大手エアバスへの補助金に対する報復措置としてEUからの輸入品に課している追加関税について、対象品目の拡大や税率の引き上げを検討すると発表した。EUへの圧力を強めて補助金の撤廃を迫る狙いだが、欧米間の貿易摩擦が激化する恐れがある。

USTRが新たに追加関税の賦課を検討しているのは、エアバス機の製造を支援するフランス、ドイツ、スペイン、英国から輸入するオリーブ、チョコレート、ビール、ウオッカ、フォークリフトなど30品目。これら追加品目の輸入額は約31億ドルに上る。このほか既に追加関税を課している品目について、税率の引き上げも検討する。

米政府は2019年10月、EUからの輸入品約160品目を対象に追加関税を発動した。世界貿易機関(WTO)がエアバスへの補助金を不当と認定し、年間75億ドル相当の輸入品に最大100%の報復関税を課す権利を認めたことを受けた措置。仏独英スペインから輸入する民間航空機に10%、その他の工業品とワイン、チーズ、スコッチウイスキー、オリーブなどの農産品に25%を上乗せするという内容で、今年2月には航空機に対する追加関税の税率を15%に引き上げた。

USTRは7月26日まで意見募集を行い、産業界から寄せられた意見を踏まえて追加関税の対象品目や税率を決定する。

EUと米国はエアバスと米ボーイングに対する補助金の違法性をめぐり、04年からWTOを舞台に争ってきた。EUは米政府によるボーイングへの補助金が不当だと主張し、WTOに200億ドル相当の報復関税を容認するよう求めている。昨年4月に対象品目の暫定リストを公表しており、航空機、トラクター、ハンドバッグ、ワイン、水産加工品など幅広い製品が含まれている。WTOは年内に判断を示す見通しで、EUはそれを基に報復関税を発動する構えをみせている。