欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/9/15

EU産業・貿易

16年から馬の個体識別ルールを強化、馬肉混入・違法薬物対策で

この記事の要約

欧州委員会は12日、馬の個体識別に関する規則の改正案がEU加盟国の代表で構成する専門家委員会で承認されたと発表した。個体識別のためのパスポート制度を拡充して管理体制を強化し、昨年EU域内で大きな問題になった馬肉混入事件の […]

欧州委員会は12日、馬の個体識別に関する規則の改正案がEU加盟国の代表で構成する専門家委員会で承認されたと発表した。個体識別のためのパスポート制度を拡充して管理体制を強化し、昨年EU域内で大きな問題になった馬肉混入事件の再発防止につなげる。

EUでは病気や人体に影響を及ぼす可能性のある薬剤を投与された馬の肉が流通するのを防ぐため、個体識別用の「パスポート」を導入して各国にデータベースの整備を義務付けている。しかし、同制度は十分に機能しているとはいえず、昨年1月から2月にかけて英国とアイルランドで、ビーフハンバーグなどの冷凍食品に本来は使用されていないはずの馬肉が混入していたことが発覚。欧州委がその後に実施した調査では、牛肉100%と表示された加工食品の約5%から馬のDNAが検出され、域内で偽装表示が横行している実態が明るみに出た。さらに別の調査では、対象となった製品の0.5%から人体に深刻な害を及ぼす可能性があるため、食肉用家畜への使用が厳しく制限されている鎮痛剤のフェニルブタゾン(別名「ビュート」)が検出された。

現行規則の改正により、すべての子馬は生後1年までに所定の機関から個体識別番号入りのパスポートを取得しなければならない。また、09年7月1日以降に生まれたすべての馬にマイクロチップを埋め込み、病気や投薬の履歴などを記録することが義務づけられる。

新ルールは2016年1月1日から導入される。ただし、中央データベースが整備されていない国に関しては、移行期間として6カ月の猶予が与えられる。