欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2020/11/2

EU情報

欧州で外出・営業制限強化が拡大、独仏などがロックダウン再導入

この記事の要約

新型コロナウイルス感染が再拡大している欧州で、外出・営業制限を強化する動きが一段と広がっている。2大国のフランス、ドイツは10月28日、感染防止対策の強化を発表。フランスは30日から全土で外出を厳しく制限する措置を再導入 […]

新型コロナウイルス感染が再拡大している欧州で、外出・営業制限を強化する動きが一段と広がっている。2大国のフランス、ドイツは10月28日、感染防止対策の強化を発表。フランスは30日から全土で外出を厳しく制限する措置を再導入する。ドイツでは11月2日から30日まで飲食店などが閉鎖されることになった。いずれも限定的なロックダウン(都市封鎖)に踏み切った格好だ。このほか、英国、オーストリア、ポルトガルが11月1日までに限定的ロックダウンの導入を発表した。

フランスでは不要不急の外出と、1キロメートルを超える移動が禁止される。飲食店は閉鎖となる。外での運動は1日1時間に制限される。EU域外との国境は閉鎖する。通勤は認めるが、在宅勤務は不可能と雇い主が判断した場合に限られる。

3月から5月にかけて実施されたロックダウンと比べて、学校や工場、企業は閉鎖されず、緩やかなロックダウンとなる。それでも、外出する場合に、理由を記した自己申告書の携帯が再び義務付けられる。

ドイツでは飲食店や映画館、劇場といった娯楽施設が閉鎖される。レストランは持ち帰り、宅配に限って営業を認められる。サッカーなどプロスポーツは無観客で開催する。ホテルでは観光客の宿泊が禁止される。春に実施したロックダウンと異なり、学校や商店は閉鎖しない。

フランスでは1日当たりの新型コロナ新規感染者が3万人を超えており、27日には死者数が523人と、4月下旬以来の高水準に達した。重篤患者も増え、医療がひっ迫しつつある。ドイツはフランスほどではないものの、感染が再拡大しており、1日当たりの新規感染者は1万人を超える。

EUではチェコとアイルランドが22日、全土を対象とするロックダウンの再実施を発表したばかり。フランスとドイツも感染症が流行しやすい冬季を前に、部分的ロックダウンの導入が必要と判断した。

その他の国でも感染拡大防止策を強化する動きが広がっている。英政府は1日、イングランド全土で5日から12月2日まで限定的ロックダウンを導入すると発表した。不要不急の外出を禁止するほか、飲食店は持ち帰り、宅配以外の営業が禁じられる。小売業は生活必需品を扱う店舗を除き、閉鎖される。海外渡航は出張を除いて自粛を求められる。

英国では10月、イングランドの各地域の感染リスクを「中程度」「高い」「非常に高い」の3つに分類し、リスクの高さに応じて営業などを規制する措置を導入した。しかし、感染増加に歯止めがかからず、31日に英国の感染者が100万人を超えたことから、イングランド全土での限定的ロックダウンを迫られた。学校、大学は春のロックダウンで閉鎖対象となった学校など教育施設は運営が認められる。

ロックダウンの再実施に伴い、英政府はコロナ禍の影響で休業を余儀なくされた従業員に給与の80%を支給する雇用支援措置を復活させる。

オーストリア政府は31日、11月3日から30日まで全土で限定的なロックダウンを実施すると発表。午後8時以降の不要不急の外出を禁止する。飲食店は持ち帰り、宅配以外の営業が禁じられ、ホテルは観光客の受け入れが認められない。春のロックダウンと比べて、生活必需品を扱わない店舗の営業は認められ、学校、幼稚園も閉鎖されない。ただし、高校、大学はオンライン授業に移行する。

さらに、ポルトガル政府も31日、国内の大半の地域を対象に4日から不要不急の外出を禁止すると発表した。企業は在宅勤務を義務付けられる。対象となるのは過去14日間新規感染者が10万人当たり240人を超えた地域で、首都リスボンと第2の都市ポルトを含む。全人口の約70%が影響を受けることになる。

このほか、ベルギーでは全土の飲食店の営業が10月19日から禁止され、夜間(午前0時~5時)の外出も禁止されているが、政府は30日、生活維持に不可欠ではない店舗の営業を11月2日から6週間にわたって禁止すると発表。在宅勤務も義務付ける。また、10月25日に非常事態を再宣言し、ほぼ全土で夜間の外出を禁止しているスペインでは同日、当初は15日間としていた非常事態の期間を5月9日まで延長することが決まった。