欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2020/11/23

EU情報

EU、キュアバックともワクチン調達で正式契約

この記事の要約

欧州委員会は17日、新型コロナウイルスのワクチン調達をめぐり、独バイオ医薬品会社キュアバックとの正式契約を承認したと発表した。最大4億500万回分を確保する。欧州委が締結したワクチン供給契約は、米製薬大手ファイザーと独バ […]

欧州委員会は17日、新型コロナウイルスのワクチン調達をめぐり、独バイオ医薬品会社キュアバックとの正式契約を承認したと発表した。最大4億500万回分を確保する。欧州委が締結したワクチン供給契約は、米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬品ビオンテック連合に続き5件目。これで少なくとも合計12億回分を確保したことになる。

キュアバックはメッセンジャーRNA(mRNA)を利用した新型コロナのワクチン開発を進めている。同社は6月に臨床試験を開始し、11月初めに初期の治験で免疫反応が確認されたと発表した。キュアバックにはドイツ政府や英グラクソ・スミスクライン(GSK)、カタール投資庁などが出資しており、7月には欧州投資銀行(EIB)が7,500万ユーロの融資を決定した。欧州委は同社との間で8月にワクチン確保に向けた予備的交渉を終えていた。

キュアバックとの供給契約は、同社のワクチンが欧州医薬品庁(EMA)から承認された場合、EUはまず2億2,500万回分を購入し、追加で最大1億8,000万回分を調達できるという内容。

EUは全加盟国にワクチンが行き渡るよう、早い段階から複数の製薬会社との間で有望視されるワクチン確保に向けた交渉を進めていた。これまでに英アストラゼネカ、仏サノフィと英グラクソ・スミスクライン(GSK)連合、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)傘下のヤンセンファーマ、ファイザー・ビオンテック連合と正式契約を締結している。購入量はアストラゼネカとヤンセンファーマが最大4億回分、サノフィ・GSK連合とファイザー・ビオンテック連合が最大3億回分となっている。

このほか欧州委は米バイオ医薬品企業モデルナともワクチン確保に向けた予備的交渉を終えており、近く正式契約を締結する見通し。モデルナは今月16日、大規模な第3相試験で94.5%の有効性を確認したと発表している。ロイター通信が入手した内部資料によると、欧州委は8月下旬にモデルナとの予備的交渉を終え、同社のワクチンが承認された場合、まず8,000万回分を購入し、8,000万回分を追加購入する権利を得た。