フランス政府は14日、新型コロナウイルス感染拡大防止策として実施している夜間の外出禁止令を強化し、全土で16日から午後6時~午前6時の外出を禁止すると発表した。感染力が強い変異種のウイルスによる感染拡大を警戒したもので、外出禁止の開始時間を従来の午後8時から2時間前倒しする。
同国では一部の地域で、すでに午後6時以降の外出を禁止している。カステックス首相はこれらの地域の感染率が他の地域と比べて2分の1から3分の1の水準にとどまることから、全土で同様の措置を講じることを決めたと説明した。16日から少なくとも2週間にわたって実施する。
首相は昨年の春と秋に実施したロックダウン(都市封鎖)の再実施については、現時点で必要な状況にないとしながらも、状況が悪化すれば「即刻」実施すると述べた。
カステックス首相は同時に、入国規制の強化も発表。18日からEU域外の国・地域からの入国者に対して、出国前に受けたPCR検査での陰性証明書の提示と、到着後7日間の自主隔離を求める。域内からの入国者の扱いについては、21日のEU首脳会議までに決める予定だ。
EUでは新型コロナワクチンの接種が始まっているものの、受けた人は一部にとどまり、コロナ禍終息のめどはたっていない。変異種による感染拡大も懸念されている。このため、感染防止策を強化する国が相次いでおり、イタリア政府は13日、1月末までの予定だった非常事態宣言を4月末まで延長すると発表。オランダ政府は12日、学校や店舗の閉鎖を含むロックダウンを3週間延長し、少なくとも2月9日まで実施すると発表した。
英も水際対策強化
一方、英政府は14日、ブラジルで確認された新たな変異種による感染が国内で拡大するのを防ぐため、南米、ポルトガルからの入国を禁止した。また、15日には、すべての国・地域からの入国者に自主隔離を義務付けると発表した。
英国では日本など新型コロナ感染が比較的少ない国・地域からの渡航者に対しては、入国後の自主隔離を免除してきた。しかし、変異種による感染拡大を警戒し、方針を転換。18日から少なくとも2月15日まで、日本などからの渡航者にも10日間の自主隔離を求める。出国前に受けたPCR検査での陰性証明書の提示も義務付ける。