欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/9/29

EU産業・貿易

EUがチーズ業者支援を中止、不正申請続出で

この記事の要約

欧州委員会は23日、ロシア政府が発動した農産物の輸入禁止措置を受けて導入した域内の乳業事業者に対する支援措置のうち、チーズの製造業者に対する支援を中止すると発表した。過去の輸出実績から見て疑わしい申請が相次いだため。バタ […]

欧州委員会は23日、ロシア政府が発動した農産物の輸入禁止措置を受けて導入した域内の乳業事業者に対する支援措置のうち、チーズの製造業者に対する支援を中止すると発表した。過去の輸出実績から見て疑わしい申請が相次いだため。バターと粉ミルクに対する支援は引き続き実施する。

欧州委は8月、ロシアがウクライナ問題をめぐる欧米の経済制裁に対抗して発動した禁輸措置への対応策として、チーズ、バター、粉ミルクを対象に、ロシアの輸入禁止によって出荷できなくなった製品を3~7カ月間にわたって貯蔵するためのコストを補てんする「民間在庫補助(PSA)」の実施を決定、今月5日から申請の受付を開始した。欧州委によると、バターと粉ミルクに関するPSAの申請はほぼ事前予想通りだった一方、チーズについては「従来ロシアへの輸出量がそれほど多くない一部の地域から不釣合いな規模の申請」があり、補助枠の上限である15万5,000トンに早い段階に達する恐れが出てきたことから、PSAの中止に踏み切った。

AFP通信がEU筋の話として伝えたところによると、最も疑わしい申請が多かったのはイタリアで、7万4,254トン分もの申請があった。

昨年のEUからロシアへの乳製品輸出額は23億ユーロ。うち10億ユーロをチーズが占める。ロシアの禁輸措置の影響が最も大きいのは、チーズの輸出の約75%がロシア向けとなっているフィンランドとバルト諸国だという。

欧州委は今月10日、同様に疑わしい申請があったとして、生鮮野菜と果物の農家に対する総額1億2,500万ユーロの特別支援の中止を発表している。