EUは3日、新型コロナウイルス感染拡大を受けて実施している域外からの渡航制限について、観光客など不要不急の渡航者を受け入れる国のリストに日本を加えると発表した。日本は1月にリストから除外されたが、感染状況が当時より深刻でなく、EUが先ごろ緩和した認定基準を満たしたため、再び「安全な国」として認められた。
EUは2020年3月、域外の第三国から域内への渡航を原則禁止する措置を決定し、不要不急の渡航を禁止してきた。感染状況が落ち着いてきたことから同年6月に同制限を段階的に緩和することを決め、7月1日から日本など15カ国を対象に観光客などの受け入れを再開したが、日本は昨年末から感染が急速に再拡大したことから、21年1月28日付でリストから除外されていた。
EUは5月20日、域外から域内への渡航制限緩和を決め、新型コロナウイルスワクチンの接種を終えていることを条件に、すべての国からの観光客を受け入れることになった。同時に、ワクチン接種の有無にかかわらず観光目的でも入域できる「安全な国」の認定について、過去14日間の人口10万人当たりの新規感染者数が25人以下という基準を同75人以下とすることを決定。これに基づき、加盟国は2日の大使級会合で日本をリストに加えることで合意していた。
EUは安全な国のリストを新規感染者数や検査状況などをもとに、2週間ごとに見直すことになっている。3日現在の対象国は日本、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、タイ、韓国、イスラエル、ルワンダの8カ国。中国も入っているが、相互主義に沿って同国がEUからの渡航者を受け入れることが条件となっており、実際には渡航規制が緩和されていない。
EUを離脱した英国はワクチン接種が進んだことで感染状況が急速に改善しており、新基準を満たしているものの、リスト入りは見送られた。インド型変異ウイルスの感染拡大が懸念されていることが理由と目される。
EUの渡航制限緩和に法的拘束力はなく、実際に受け入れるかどうかは加盟国の判断に委ねられる。各国は到着時のPCR検査、一定期間の隔離といった条件も付けることができる。