欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2021/6/28

EU情報

EU首脳会議、対ロ関係の協議決裂

この記事の要約

EUは24~25日に開いた首脳会議で、人権問題などをめぐり関係が悪化しているロシアへの対応について協議した。ドイツとフランスがEUとロシアの首脳会議開催を提案したのに対し、バルト3国やポーランドなどが反対し、合意できなか […]

EUは24~25日に開いた首脳会議で、人権問題などをめぐり関係が悪化しているロシアへの対応について協議した。ドイツとフランスがEUとロシアの首脳会議開催を提案したのに対し、バルト3国やポーランドなどが反対し、合意できなかった。ロシアとの距離や歴史的な背景が異なる加盟国の間で温度差が浮き彫りになった格好だ。

独仏は対ロ関係の改善に向け、プーチン大統領を招いて首脳会議を開くことを提案した。今月16日にバイデン米大統領とプーチン氏がスイスで会談したのを受け、EUとして独自の外交路線を目指す狙いがあったとみられる。

マクロン仏大統領は「欧州の安定にはロシアとの対話が必要だ」と強調。メルケル独首相は「包括的な話し合いが行われた。どのような条件でロシアと協力し、緊密に連絡を取り合うことが可能か確認した」と述べた。

これに対し、リトアニアのナウセーダ大統領は「(首脳会議開催は)誤ったシグナルを送ることになる」などと述べ、ロシアとのスタンスを維持することが多くのEU加盟国の共通認識だと説明。ポーランドのモラウィエツキ首相は、ロシアが2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島を保持する限り、首脳会議を行うことはできないとの考えを示した。

首脳会議の共同声明は、サイバー攻撃などロシアによる「違法で破壊的な活動」に対し、「協調した断固たる対応が必要だ」と表明。欧州委員会に対し追加制裁の検討を進めるよう指示した。そのうえで、気候変動など特定分野での連携を念頭に、「対話の条件やあり方」を検討する方針を示した。