欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2022/2/7

EU情報

ユーロ圏の10~12月期 GDPは0.3%増、オミクロンで成長失速

この記事の要約

EU統計局ユーロスタットが1月31日に発表した2021年10~12月期のユーロ圏の域内総生産(GDP、速報値)は実質ベースで前期比0.3%増となり、3四半期連続でプラス成長を維持した。ただ、伸び率は新型コロナウイルスの新 […]

EU統計局ユーロスタットが1月31日に発表した2021年10~12月期のユーロ圏の域内総生産(GDP、速報値)は実質ベースで前期比0.3%増となり、3四半期連続でプラス成長を維持した。ただ、伸び率は新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大で前期の2.3%から大幅に縮小した。(表参照)

21年通期のGDPは、前年にコロナ禍の影響で大きく落ち込んだ反動や、経済の正常化が進んだ4~6月期と7~9月期に好調だったことで5.2%増となり、1971年以来の高成長を記録した。

10~12月期のGDPは、前年同期比では4.6%増となった。EU27カ国ベースのGDPは前期比0.4%増、前年同期比4.8%増。前期はそれぞれ2.2%増、4.1%増だった。

ユーロ圏で前期比の成長率が鈍化したのは、オミクロン株の流行で多くの国が経済・社会活動の制限を再び強化し、個人消費が落ち込んだのが主因。サプライチェーンの混乱、エネルギー価格高騰も重しとなった。

主要国ではドイツが制限強化、サプライチェーン混乱の影響が大きく、0.7%のマイナス成長だった。一方、フランスは0.7%増、イタリアは0.6%増、スペインは2.0%増。伸び率は前期を下回ったものの、堅調を維持した。

エコノミストらの間では、22年1~3月期はオミクロン株感染のピークアウト、サプライチェーン混乱の改善が見込まれるため、成長の加速が期待できるが、物価の急上昇が続けば鈍化しかねないとの見方が出ている。