独自動車大手ダイムラーは21日、戦略提携する米電気自動車(EV)メーカー、テスラの株式4%を売却し、資本を全面的に引き上げたと発表した。売却益は約7億8,000万ドルで、事業の強化に充てる方針。経済環境が世界的に悪化していることから、手元資金の拡充につながる今回の措置を市場は歓迎している。テスラとの事業提携は継続する。
ダイムラーは2009年にテスラと戦略提携し、同社の株式約10%を5,000万ドルで取得したほか、バッテリーシステムと電気駆動装置の開発、車両プロジェクトを共同で推進していくことを取り決めた。テスラからは「Bクラス」と「スマート」のEVモデル向けに充電池の供給を受けている。
テスラは2010年に株式を初公開した。初値は17ドル。株価は昨年半ばから急上昇し、現在は233ドルを付けている。9月初旬に記録した過去最高(291ドル)を下回るものの、ダイムラーは巨額の売却益を確保した。
市場には、テスラのモデルがダイムラーの旗艦モデル「Sクラス」と競合するようになったことが資本撤退の理由との見方もある。
一方、ダイムラーが23日発表した2014年7~9月期(第3四半期)の純利益は28億2,000万ユーロとなり、前年同期から49%増加した。販売が堅調だったほか、資産売却による特別利益が収益を押し上げた。
売上高は10%増の331億2,000万ユーロ。メルスデス・ベンツ「Sクラス」などの販売が好調で、販売台数は63万7,400台に伸びた。
同社は今年、英ロールスロイスと設立したエンジン製造の合弁会社ロールスロイス・パワー・システムズ(RRPS)の株式50%をロールスロイスに売却し、10億ユーロの売却益を計上。これが大幅増益の大きく貢献した。