2012/2/1

コーヒーブレイク

政府ポータルにハッカー攻撃~ポーランド

この記事の要約

ポーランドのトゥスク首相ポータルが23日、ハッカー攻撃に遭った。若々しくスマートなイメージの首相の代わりに、1981年冬に「連帯」運動をつぶし、非常事態を宣言したヤルゼルスキ将軍を思い出させる軍服・サングラスの人物が、「 […]

ポーランドのトゥスク首相ポータルが23日、ハッカー攻撃に遭った。若々しくスマートなイメージの首相の代わりに、1981年冬に「連帯」運動をつぶし、非常事態を宣言したヤルゼルスキ将軍を思い出させる軍服・サングラスの人物が、「インターネット全域に非常事態を宣言」する様子が表示されたのだ。この人物はポーランド語のユーチューブでカルト的な人気を誇る年配女性キャラクター「バーバラ・バシア」で、国際的なハッカー集団「アノニマス」を名乗るグループが仕組んだという。

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ハッカー攻撃に遭ったのは首相ポータルだけではない。すでに週末から議会、大統領、文化省、陸軍参謀、保安当局など、国の公式サイトに大量の同時アクセスがあり、一部のサイトがダウンする騒ぎがあった。首相ポータルのように、内容の改ざんも試みられた。

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背景には、ポーランド政府が他のEU加盟21カ国とともに、偽ブランド品などの流通を規制する「偽造品の取引の防止に関する協定(ACTA)」の調印を控えていたことがあるようだ。同法に対しては、ネットの検閲強化を懸念して国内に強い反対がある。

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調印をきっかけに抗議行動の波が大きく広がり、トゥスク首相は27日、「ACTAが思想の自由を侵すものであれば、議会の批准にかけない」と方向修正に追い込まれた。同件を担当するボニ行政・デジタル相も、「ラジオZ」とのインタビューで、「ACTAをめぐって広く、公に国民と議論を交わしてこなかった」と否を認め陳謝した。

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ちなみに、首相ポータルの操作にハッカーが使ったログイン名は「admin」、パスワードは「admin1」と非常にシンプルだったようだ。ネットの重要性に対する政府の認識の低さを垣間見たような感じがする。

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